nagayakoji

2025/06/13 19:00

雨の音が心地よく感じる日もあれば、どこか気持ちまで湿っぽくなる日もある。
6月はそんな、揺らぎの季節。
朝起きるとなんだか体が重たい。
足がむくんで靴がきつく感じる。
ごはんは食べたはずなのに、エネルギーが湧いてこない──
そんな声を、毎年この季節になると、あちこちから聞くようになります。

それはきっと、体の中に“湿”がたまってきているサイン。
東洋医学では、梅雨時の不調を「湿邪(しつじゃ)」の影響ととらえます。
湿気が体にたまると、水分代謝がうまくいかなくなり、むくみやだるさを生み出します。
そして、体が重くなると、心も沈みがちに。

だからこそ6月は、「巡らせる」ことが養生の鍵になるのです。

“湿”をためないからだは、まず「脾」から整える
湿気に弱い臓器──それが「脾(ひ)」です。
脾は、食べたものを消化・吸収して「気」や「血」をつくり、
体の中をうまくめぐらせる司令塔のような存在。

でも湿がたまると、この脾のはたらきがにぶってしまいます。
すると、消化がうまくいかずに胃もたれや食欲不振が起きたり、
“気”が足りなくなって、気力が湧かない、気分が落ち込むといった状態に。

つまり、水分バランス・胃腸の調子・心の不調は、すべて「脾」に関わっているのです。

そんなとき、まず整えたいのは「食事」。
体の中に溜まってしまった湿気を、“出せる体”に変えていくこと。
その土台をつくるのが、梅雨時の養生ごはんです。

水を巡らせる食材を味方に
この季節におすすめの食材は、水をさばく力を持つもの。
たとえば、

はと麦(余分な水分を外に出し、肌の調子も整える)

冬瓜(水分が多く、体を冷やしすぎずに排湿)

枝豆・小豆(利尿と胃腸サポート)

とうもろこし(ヒゲまで使うと利尿作用抜群)

こうした食材を、雑穀入りごはんとスープという組み合わせでとるのが、この時期のおすすめスタイル。
スープは、出汁と塩をベースにして、具材はあれこれ入れすぎず、軽くて消化しやすいものに。
胃腸がよろこぶ、やさしい一杯です。

【例:梅雨時スープの一例】
・はと麦+冬瓜+しょうが+干ししいたけ(出汁)
・とうもろこし+玉ねぎ+塩麹+青じそ

養生とは「ととのえること」と「めぐらせること」
つい、疲れを感じたときに「何かを足そう」としてしまいがちだけど、
この時期に大切なのは「余分なものを手放すこと」。

体に湿をためない、心に重さをためない、というのは同じこと。
水が巡れば、気も巡る。気が巡れば、心も軽くなる。
その循環のスタート地点が、「胃腸を整えること」なのです。

冷たい飲み物や、パン・生野菜・お菓子などは、胃腸にとって“湿をためやすい食べもの”。
できる範囲で減らして、雑穀入りのあたたかいごはんと、野菜たっぷりのスープを。
毎日の台所が、巡りを生む場所になっていきます。

おわりに:水のめぐりは、心のめぐり
梅雨の時期を、ただ「不快な季節」としてやり過ごすのではなく、
自分の体の中の巡りに目を向ける時間にしてみませんか?

外の空気が湿っているからこそ、内側の流れをよくする。
それは、湿気に負けない体と心をつくる、やさしい習慣です。

スープをひとくち飲んだとき、からだが「ふっ」とゆるむ感覚。
その小さなサインを受けとることも、立派な養生。

梅雨の重さを手放し、軽やかに夏へと向かっていきましょう。

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