nagayakoji

2025/05/23 12:00

湿気とだるさに負けない 〜初夏の養生〜

はじめまして。今月から、季節の養生や暮らしの中でできる食養生についてのコラムを担当させていただくことになりました。養生家の鈴です。
毎日のごはんや台所、そして体と心の声にそっと耳をすますような、そんな“暮らしを整える養生話”を月に2回、お届けしていきます。

「食べる」「少し休む」「やさしく温める」。


養生とは、決して特別なことではなくて、日々の選択を“少しやさしく”することなのだと思います。ご紹介するのは、特別な食材や難しい方法ではありません。
日々のごはんの中にある、お味噌汁の具材や旬の野菜、ちいさな養生の工夫です。
子育てや仕事に忙しい毎日でも、自分にやさしくできる時間はきっとある。
そんな気づきのきっかけになればうれしいです。

これからどうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、ゴールデンウィークが過ぎたころ、急に「なんだか体が重いなあ」と感じることはありませんか?
5月の空気はやわらかく、初夏の気配が気持ちいい反面、気づかないうちに湿気がじわじわと体にたまってきます。洗濯物が乾きづらくなるように、わたしたちの体の中にも“湿”が残ってしまうのです。

東洋医学では、この時季のだるさや重さは消化吸収を司る臓の弱りと関係していると考えます。つまり、5月は“胃腸の声”に耳をすませるのが大切なの養生の鍵なのです。


弱ってくると、こんなサインが出てきます

「食欲がない」「甘いものばかり欲しくなる」「午後になると眠くて仕方がない」。
これらはすべて、胃腸のあたり、(脾といいます)が疲れているときに出やすいサインです。
脾というのは、食べ物から“気”や“血”を生み出し、全身に巡らせる大事な臓です。
でも湿気の多い時季になると、水分代謝がうまくいかず、体の中に“余分な水”がたまって働きがにぶくなってしまうのです。

特に、子育てや家事に追われて「なんでもサッと済ませたい」毎日が続くと、知らず知らずのうちに負担がかかっていることも。。。そんなときは、食べるものを少し、見直してみましょう。


元気にするのは、シンプルでやさしいごはん

この季節は、“淡味(たんみ)”といわれる、うす味であっさりした食べものにします。
油っこいもの、冷たいもの、生ものは重荷になってしまうので、できるだけ控えめにします。

この季節におすすめなのは、はと麦、新ごぼうなど。
はと麦には、体の中の余分な水分を外に出す作用があり、湿を取り除くのにぴったり。
新ごぼうは香りがよく、腸をきれいにしてくれます。お釜にポンと入れて一緒にたき、朝食の塩おむすびに。


養生とは「がんばらない食事」

食べることは、“気”を補うこと。
食べることが、自分を元気にするための最初の一歩になります。

でも、「養生しなきゃ、頑張ってやらなきゃ」と思って、難しいことをする必要はありません。
雑穀ごはんとお味噌汁、それに蒸し野菜があれば、それだけで十分。切って、のせて、火にかけて。元気をつけたい時は醤油麹をたっぷりとつけダレに。蒸し野菜をボウルに入れて塩麹を和えて簡単にお腹に優しいおかずに。
大切なのは、「体を思って選んだ食事」をとること。そこに意識があるだけで、養生になります。特に家族の食事を用意することが多い方は、自分の食べものが「後回し」になりがちです。
でも、あなたの元気が、家族の元気につながる。
だからこそ、自分のためにお茶を入れる時間を作ることも、大事な養生のひとつです。


おわりに:季節の変わり目に、やさしく整える

忙しいときこそ、台所で湯気が立ちのぼる音に癒されたり、シンプルなごはんで体が軽くなる感覚を大切にしてみてください。
わたしたちの体は、思っている以上に季節に敏感で、そしてやさしく整えようとする力を持っています。

5月を養生し、気持ちよく初夏を迎えましょう。


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